
KNOWLEDGE
「やる気ボタン」 はどこにある?
「目の前にやるべきことが山積みなのに、やる気がちっとも湧いてこない…。
体のどこかにある『やる気ボタン』が押せたらいいのに」と考えたことはありませんか?
――実は『やる気ボタン』は、脳の中にあるのです。
「やる気」が生まれる仕組み
私たちが「よし、やろう!」と前向きな気持ちになっているとき、脳の中では特有の仕組みが働いています。その中心となるのが、脳の奥深くにある「線条体」と呼ばれる領域です。線条体は大脳基底核の一部で、快楽や報酬と行動を結びつける役割を担っており、「やる気がある状態」とは、まさにこの線条体が活性化しているときのことを指します。
どのようにして線条体が活性化するかというと、ポイ
ントとなるのは快楽物質として知られる「ドーパミン」です。何かよいことがあったり、気持ちよさを感じたりすると、脳の深部にある黒質や腹側被蓋野、側坐核といった領域からドーパミンが分泌されます。このドーパミンが線条体に送られることで、「この行動は気持ちよかった」という情報が蓄積されます。行動と快感が強く結びつくと、「あの行動をすればよい気分になる」という予測が働き、実際に行動を起こす前から線条体が活性化するようになります。この「快感の予測」こそが、やる気の正体です。
たとえば、部下が何らかの行動によって上司にほめられ、快感を得たとします。それが何回か繰り返されると、「これをやったら上司にほめられるんじゃないか」と、線条体が快感を予測して活性化を始めるようになる好循環が生まれます。
「やる気ボタン」の押し方
脳の仕組みを活かした、「やる気ボタン」の押し方をご紹介します。
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ひとまず始めてみる

脳には、行動を始めると線条体が活性化し、脳のほかの部分とも連動して行動を維持させようとする「始めるとやめにくい」性質があります。
「まずは机の上だけ掃除する」「書類作成のタイトルだけ書く」など、ハードルをぐっと下げ、取りかかりやすい最初の行動を設定しましょう。 -
行動を具体的に イメージする

抽象的に「○○しなきゃ」と思うだけでは脳は動きません。やるべき行動を具体的に想像することで、線条体が活性化します。
ジョギングに行くなら、「玄関に向かう→靴ひもを結ぶ→歩き出す→公園に向かう」といった一連の流れを、映像のように具体的にイメージしてみましょう。 -
オノマトペを口に出す

行動を表現する擬態語(オノマトペ)を口に出すと、線条体が活性化します。
仕事に取りかかる前に、「これから私は、ピーンと背筋を伸ばしてサッとデスクに向かい、メラメラした気持ちでバリバリ報告書をまとめて、チャチャッと帰り支度をしてサッとオフィスを出る」といったように、口に出して言ってみましょう。 -
やっている人の そばに行く

脳には、他者の行動を模倣する「ミラーニューロン」という神経があり、意欲的に作業している人を見ると、その状態が自分にも反映される可能性があります。
オフィスやコワーキングスペースなどで、集中している人やがんばっている人の近くに身を置いてみましょう。
ペナルティーや脅しは 逆効果
「結果が出なかったら、大切なコレクションを捨てる」などのペナルティーを設けると、恐怖や不安に関連する「扁桃体」の活動を利用して、“恐怖から逃げたい”というモチベーションが高まります。この方法は、線条体のモチベーションよりも強く、短期的には有効ですが、長期的なやる気にはつながりにくいため、おすすめしません。
監修 公立諏訪東京理科大学教授 篠原 菊紀









